前田 茂樹

前田 茂樹

大阪工業大学工学部建築学科 准教授

日経ニューオフィス賞奨励賞(ノルトロック・ジャパン新社屋)

SHIGEKI MAEDA

前田 茂樹

設計ポリシー

いまでも心に残っている建築があります。フィンランドの南端の町パイミオにある、建築家アルヴァ・アアルトによって1933年に建てられた結核患者の療養所です。北欧のデザインと言えば、カラフルなファブリックや食器、照明、家具などが有名ですが、この建築家は「環境」をデザインしているのです。

パイミオの療養所は結核の患者さんが、日光に当たり栄養を取りながら体力を蓄え療養していく場所です。結核にとって空気が汚れていない環境は重要です。ここでの照明はデザインが優れているだけではなく、照明と天井面の間に隙間をつくらないようなデザインとなっており、照明上部に埃が溜まらないようにしています。見た目のデザインをよくするだけではなく、「必要なこと」をデザインしています。

患者さんの大部屋も、カーテンのデザインや壁の色使いが北欧らしく優しく美しい。けれどもそれだけではなく、お見舞いの方が手を洗う部屋の中にあるシンクの角度でさえも、水音が気にならないよう細かな心遣いが設計に盛り込まれています。ちょっとした気遣いがあり、患者さんや働く人の「日常の解像度を上げる」デザインをしています。このアルヴァ・アアルトの建築は、建設後80年が経過している現在でも、結核患者用ではありませんが療養所として使われ続けています。

永く使われ続けるデザインとは、その場所に合ったものであり、土地や使う人との関係性を繋いでいくものではないかと思います。きれいに永く使いたいと思ってもらえるような、人を包む環境デザインを丁寧に設計することを大事に考えています。

略歴

1974
大阪生まれ
1998
大阪大学建築工学科卒業
2000
東京藝術大学大学院中退
2000-2010
ドミニク・ペロー建築設計事務所(フランス)にて チーフアーキテクトとして勤務(実績例:大阪富国生命ビル)
2010
ジオ-グラフィック・デザイン・ラボ一級建築士事務所を設立
2010-2013
大阪工業大学工学部建築学科 講師
2013
大阪工業大学工学部建築学科 准教授

受賞

2006
中之島新線新駅企画デザインコンペ大江橋駅 最優秀賞
2008
日本建築家協会近畿支部設計コンペ(六甲山上の展望台)入選
2012
バングラデシュ・サイクロンシェルター国際設計コンペ 最優秀賞
2013
日本建築学会作品選集(大阪富国生命ビル)
2014
日経ニューオフィス賞奨励賞(ノルトロック・ジャパン新社屋)

編著

2013
「海外で建築を仕事にする」(学芸出版社)

建築実績

大阪富国生命ビル
家のようなオフィス
編著作
築150年の古民家改修
山の上の古民家改修
庭と一体化した住宅
ホームホスピス 歩歩歩の家
ホームホスピス みぎわ
光あふれる会議室